北海道わが町自慢
でんすけすいか(当麻町)


写真:JA当麻

 旭川駅から約30分。石北本線当麻駅、将軍山駅、伊香牛駅がある当麻町は旭川郊外の田園地帯だ。
 この町の有名特産品がでんすけすいか。なにせ当麻の名は知らなくても、でんすけすいかは知っている人が大勢いて、3年前にオープンした道の駅が「でんすけさんの家」になってしまったほど。そこで売られているのはすいかはもちろん、ゼリーやあめ、ラーメンにせんべい、さらにはマスコット人形やカップ、グラス、タオル…。「でんすけ」や「すいか」の名を冠した商品のオンパレードだ。
 このすいかを世間に知らしめたのは、なんといっても価格の高さ。すいかといえば普通千円前後くらいだろうが、このすいかは5千円前後から高ければ1万円以上もする。
 歴史は意外に新しい。1984年、15戸の若手農家が特産品に育てようと黒皮のタヒチという品種のすいかをつくり始めた。
 水田の転作作物として田を助ける「田助」。またツルツルの外観が喜劇俳優の大宮敏光さん(通称でんすけさん)に似ていたこともあって名づけられた。
 外箱もつくった。ところが赤と黒の色づかいはギフト商品に向かないと、当初は流通業者に不評だった。しかしこの斬新なデザインが世に出ると評判を呼ぶ。そんなことが相まって、農家も驚く高値がつくようになった。
 そのかわり品質管理は万全だ。農家では栽培技術を磨き、さらには機械を使ってすいかの表面をツルツルに磨く。
 農協の選果場には、空洞、糖度、形をセンサーでチェックする高価な機械が導入された。
 「思うような形になってくれなくて、出荷できないものがかなりあります。選果場でもはねられる。人によって違いますが、わが家では出荷できない玉が3割くらいです」
 と当麻町そ菜部会でんすけ部会の高橋祝明部会長。こうした態勢が高級ブランドの品質を保証している。
 1個5千円のすいかは1切れ2百円前後。味はどうかといえば、確かに食感がシャキシャキし、甘くておいしい。でも値段が…
 これはすいかと思ってはいけないのかもしれない。夏の涼しげな高級お菓子なのだと思わなければならないのかもしれない。
 赤黒の外箱も、頭にかぶって遊んだり、物入れにしたりでけっこう楽しい。そういえば、でんすけすいかはハドソンの人気ゲームソフト「ボンバーマン」とタイアップしているとか。ただ単に食べるだけでなく、遊び心も満たしてくれる高級ブランド水菓子である。
THE JR Hokkaido 2001年8月号


良いものを 各地から