コチョウラン(赤平市) |
かつての炭鉱の町、赤平市。黒一色のイメージだったこのマチが、明るい花のマチとして歩み始めている。 赤平花卉園芸公社が設立されたのは住友石炭赤平炭砿が閉山した1994年。ポスト石炭として白羽の矢を立てられたのがコチョウラン(胡蝶蘭)の栽培だった。 「石炭は真っ黒でどうしても暗いイメージになりがちでしたので、花で明るくしようと。住友石炭がバラやカーネーションなどの施設園芸を始めていたこともあって、花の栽培をポスト石炭に据えたんです」 同公社社長をつとめる赤平市収入役、菅原健治さんが説明する。 コチョウランの栽培が経営的に成り立つのか事前に市場調査が行われた。その結果、道内の需要をまかなうために大規模栽培を決定、第三セクターの公社を立ち上げた。そして全道一の生産額へと一気に躍り出る。 業績は順調。累積赤字はあるものの、今年度は初めて単年度黒字になりそうだ。コチョウランはもともと温かい地方の植物。しかし寒冷地が逆に有利でもある。 「生育するとき日中に30度前後必要なんですが、花をつけるころには25度以下にする必要がある。本州ではエアコンが必要なのに、ここでは暖房だけで済んだんです。でもここ数年は猛暑が続いて、一昨年はエアコンを入れざるを得ませんでしたが」(菅原社長) 品質もトップクラス。 「本州産は花期が数週間なんですが、ここのは3、4ヶ月にもなる。実際にそうなんです。旭川の生花市場では、鉢ものは赤平産しか流通しなくなってしまいました」(同) その理由の一つが苗のちがい。ほかでは海外から苗を買って育てることが多いため、花の寿命に影響を与えているらしい。 同公社ではコチョウランの栽培はもちろん、栽培農家などへの苗の供給にも力を入れている。さらにはバイオテクノロジーによる病害虫に強い品種の開発など新たな試みも積極的に行っている。 昨年四月にはJR赤平駅でもある「赤平市交流センターみらい」で「らんフェスタ赤平2001」を開催、3日間で2万7千人もがつめかけた。 今年は「みらい」では会場が狭すぎるため、総合体育館に移動。また中空知5市5町の物産展も同時開催される。 可憐で優美なコチョウラン。この花によっって赤平は暗から明へと華麗なる変身をとげつつある。 |