あれも北海道!これも北海道!
   道産品活躍の場を訪ねて    

【フジッコ・盛岡冷麺】

 北海道の農水産物が道外でもてはやされています。一昨年の春にその現場を駆け足で回ってきました。今回は昆布や豆類など道産原料で健康・安心を売りものにしている神戸のフジッコ、そして道産バレイショでんぷんを使った盛岡冷麺の元祖について紹介します。

神戸のフジッコ

昆布から始まった「健康」「安心」企業

北海道産を明示

 フジッコの製品でだれでも食べたことがあるのは昆布の佃煮でしょう。独特な真四角で浅い透明な容器に入っています。味付けも椎茸やしそ、ごまなどバラエティ豊かです。ほかに昆布製品ではとろろ昆布の「純とろ」などがあります。

 「フジッコのおまめさぁ〜ん」というフレーズはテレビコマーシャルで何度となく聞かされ、覚えてしまった人がたくさんいるのではないでしょうか。大豆や黒豆、インゲン豆など、さまざまな豆をふっくらと炊きあげています。

 最近は「おかず畑」というシリーズも人気が広がっているようです。里芋、れんこん、ごぼうなどの単体や、それらを炊き合わせた筑前煮などがあり、根菜類の煮物を手軽に味わえます。健康的な和食が見直されていますが、袋から出しだだけですぐ食べられる総菜は、そんな時代にぴったりなのでしょう。

 フジッコの本社は神戸の沖に浮かぶポートアイランドにあり、この島と陸とは無人運転の電車ポートライナーなどで結ばれています。その沖にはさらに島が造られており、来年には新設の神戸空港が開業する予定です。この島ができた1981年にはポートピア81が開かれています。フジッコの社屋はその10年後の91年に完成しました。明るく近代的な建物です。


フジッコ本社

 1階には同社製品の紹介コーナーがありました。おなじみの昆布製品のほか、「おまめさん」などの見本がならんでいます。同社では黒豆や茶福豆、白花豆、とら豆などで「北海道産」をパッケージに大書して明示しています。ほかに産地が大書されているのは地元兵庫県の丹波だけのようです。

昆布から豆や総菜へ

 もともとこの会社は1960年創業の富士昆布という大手の昆布会社です。昆布そのものを売り買いするだけでなく、おぼろ昆布やとろろ昆布などを製造し、71年には昆布佃煮の革命といわれた「ふじっ子煮」を開発して、その製品が全国に広まりました。

 私はかつて水産業界紙で昆布を担当していたことがあります。道東太平洋沿岸でとれるナガコンブという種類の昆布は、昆布の中で一番生産量は多いのですが、長時間煮てもなかなか柔らかくならないのが欠点でした。たしかその技術はこの昆布を早くやわらかな佃煮にするものだったと思います。これでナガコンブにも大量消費の道が開けたのです。

 昆布製品から出発した同社ですが、煮豆そして総菜一般へと製品は多様化し、社名も富士昆布からフジッコに変わっていきます。昆布以外の製品に大きな力を注ぎ始めたきっかけは、80年前後に北海道の昆布産地が不漁で異常な値上がりを見せ、十分な原料が確保できなかったことだったと記憶しています。

 昆布業者は昆布がなければ始まりません。道内産地は買い手の足下を見て値を異常につり上げてしまい、結果的にフジッコなどの大手需要者の昆布離れを招いてしまいました。それを教訓にその後は適正価格に向けて産地が努力していくようになります。フジッコは昆布流通の歴史にも大きな影響を与えました。

北海道産のクリーンさを大切に

 さて、この会社の大きな特徴が今ではあたりまえになった「健康」「安心」を早くから前面に押し出してきたことです。1970年にとろろ昆布の脱合成酢を達成し、醸造酢100%となりました。とろろ昆布は昆布を酢で湿らせて柔らかくし、それをたくさん重ねて圧力をかけて塊にしてから、かんなのような機械で昆布の向きと垂直に削っていきます。

 ちなみに、おぼろ昆布は一枚ずつ昆布の表面を刃物で削りとって造り、残った芯はバッテラ寿しに使われています。木材にたとえれば、おぼろ昆布は角材の表面をかんなで削り取ったもの、とろろ昆布はぶ厚い合板の断面を削ったもの、といえます。


製品の紹介コーナー

 73年には脱サッカリンを達成、76年には「おまめさん」を無漂白、無着色、合成保存料無添加で開発、82年には全製品で合成保存料の撤廃を達成しました。

 99年には豆製品のすべてに原産地を自主表示し、遺伝子組み換え作物の自社検出システムをスタートさせています。

 「おまめさん」の原料となる大豆などは入手難で輸入物を使わざるを得ない時期があったそうです。しかし国内での生産が拡大するにつれて国内産に移行しており、特に「北海道産のクリーンなイメージを大切にしたい」と広報担当者は話していました。

 同社では遺伝子組み換えや残留農薬の自社検査のほか、最近よく耳にするトレーサビリティー、日本語では生産履歴追跡などといわれているシステムを導入しています。まず原料の種類が多い「おかず畑」から始まり、ほかの製品にも広げつつあります。

 イソフラボンを含む黒豆の飲料やヨーグルト飲料といった今流行の健康志向食品も販売されており、時流に乗った傾向にはちょっと安易さも感じますが、これまでのこの会社の履歴からすれば信頼感は抜群です。 


盛岡冷麺

新名物誕生への道  元祖は「平壌冷麺」

※この項は引用した文章が盗作だという指摘がありましたので、確認できるまで空白とさせていただきます。

 

食道園



駅で売っていたおみやげ用冷麺

 

 次のインターネットホームページを参考にさせていただきました。

フジッコ株式会社
  http://www.fujicco.co.jp/

盛岡冷麺どっとこむ
  http://www.moriokareimen.com/

春秋ほっかいどう 2005年春号


良いものを 各地から